地域情報コース情報系で学ぶ15人が「災害時に食べられる防災植物」「災害時に聴覚障害者とコミュニケーションをとる方法」「防災公園を市民に知ってもらう」の3つのテーマに分かれてとりくんだ。得意のICTをフル活用し、調べ、まとめ、発信した。もちろん、インターネットだけではなく専門家から直接、知識や技術を教えてもらいもした。とにかく知ってほしいという情熱が伝わる実践である。

和歌山県立和歌山商業高等学校

得意のICTを活用して、防災を広げたい

1.受賞の知らせを聞いて、どう思いましたか? こどもたちの反応は?

 生徒たちに受賞の感想を聞くと、誰もが、受賞は想像もしていなかったので最初は驚いたと口をそろえる。「賞をめざしてとりくんだのではなく、普通に授業で活動していただけだから」というのがその理由だ。ただ、どの生徒も、自分たちのとりくみが多くの人たちに認められたことが素直にうれしいと言う。喜びが後からじわっと湧いてきたのだろう。

2.どんな活動を続けてきましたか?

 毎年、授業の一環で行っている。3年生がテーマを設定して、得意のICTを駆使して「課題研究的」に学び、発信するスタイルを続けてきた。

3.今年度の一押しの実践を教えてください

 今年度は3つの班に分かれてとりくんだ。

 1班は、南海トラフ巨大地震と津波が発生すると、和歌山まで支援が届かないかもしれないと考え、ヨモギ、オオバコ、クローバーなど、食べられる植物について調べた。ネットだけではなく、防災士や日本防災植物協会の方々の話も伺い、「防災植物」について知識を深めた。近所にある「むつみこども園」から頂いた「防災植物」を育てているが、まだ食べるところまで育ち切っていない。ただ、別途いただいた「防災植物」を和歌山ろう学校の生徒たちと一緒に調理した。

 2班は聴覚障害者が情報伝達に使える電子ボードを開発した。名前は「かけるくん」。見開き本の形を採用し、開くと2つのタブレットを使って簡単に意思を伝えることができる。表紙と裏表紙にイラストを配置して、指さしでの情報伝達も可能にした。停電でも困らないようにLEDライトを取り付け、持ち運び用のカバンも製作した。使ってみた和歌山ろう学校の生徒たちからは高評価をもらった。ただ、大きくて重いからコンパクトにして欲しい、ライトが明るすぎる、など改善点も指摘してもらった。開発には和歌山工業高校の先生にも協力していただいた。和歌山商業高校の先生からは、タブレットやメモ用紙で十分だという辛口のコメントやバッテリーの持続時間の向上など、改良に向けたアドバイスをもらえた。

 3班は学校近くにある砂山今福防災公園の存在と機能を広く知ってもらうために、広報ビデオを製作中。実際にかまどベンチを使って火起こし、調理をして動画にまとめるなど、公園のいろいろな機能をわかりやすく紹介しようと、写真、動画をとってまとめているところだ。最終的にはYouTubeにアップする。

4.現在の課題と、将来、とりくみたいことを教えてください。

 自分たちには防災の知識がないと痛感している。知識がないとりくめない。パソコンで調べる、過去の担当の先生に聞く、先輩のデータを参考にする、防災に詳しい方々の話を聞くなど、学びの間口を広げた。自分の学校だけではなく、他校の先生のアドバイスも求めた。とにかく、「知らないこと」を無くしたかった。

 1班は動画づくりにとりくんでいるが、防災植物をもっと調べて、実際に食べてみて、図鑑づくりにも挑戦したい。2班は学校のホームページ作りに苦戦している。わかりやすく見やすいホームページを作るのが課題だ。3班も「わかりやすく」が課題。動画を撮影する前にテントの組み立てやかまどベンチを使った調理を練習して習熟し、わかりやすい動画にしたい。自分たちが使えないものを広げられるはずがないから。

 もうすぐ卒業なので、今の2年生にきちんと引き継いでいきたい。世間に伝えることと後輩に伝えることの両方が大切だと思っている。これまでボツになった案も残しておいて、後輩がそれを拾って考えるヒントになればと思う。

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