阿南市立橘小学校

こどもたちの学びが地域をつなぐ

1.受賞の知らせを聞いて、どう思いましたか? こどもたちの反応は?

 学校にとっても地域にとっても防災教育が活力を生み出してきた。地域の協力があっての実践だと、こどもたちはちゃんと理解している。昨年はwithコロナ賞で今年は優秀賞をいただいたが、連続しての受賞で大変うれしい。弾けるような喜びを表すこどもたちではないが、すごく喜んでいるのが伝わってくる。

 学校だよりで地域にも受賞をお知らせした。自主防災組織の皆さんが喜んでくれた。「がんばった」という気持ちと「これからもやらんとあかんな」という気持ちの両方を持っているようだ。

2.どんな活動を続けてきましたか?

 橘小学校は平成6年(1994年)に高台に移転した。学校の標高は22.8メートルあるが、こどもたちが住んでいる地域は8.2メートルの津波が襲ってくると水没してしまう。地域住民は高台の学校に避難してくるが、学校は陸の孤島になる恐れがある。この地域で一番大切なのは、被災する地域と避難所となる学校のつながりづくりだ。自主防の協力を得て地域の防災公園にある倉庫を見学するなど、町探検を続けている。郊外でのこのような行事は雨天中止となることが多いが、今年は雨の中実施し、水はけが悪い場所を見つけるなど、雨の日の課題の発見にもつながった。

 日本赤十字社が行っている「JRCオンライン語り部ライブ」をこどもたちに見せた。東日本大震災のリアルな体験を聞いたこどもたちは、「今を大切にしたい」「地域の人とのつながりを大切にしたい」と話すようになった。こどもたちが地域と学校をつなぎ、地域の意識を高めていく起爆剤となっている。

 龍谷大学とは5年ほど前から一緒に防災教育にとりくんでいる。例えば、4年生が大学生から避難所運営の授業を受け、学んだこと、考えたことを保護者に手紙で伝えるとりくみを行った。親子で考える授業で、保護者の啓発にもなっている。

3.今年度の一押しの実践を教えてください

 徳島大学環境防災センターが、四国各地に残された災害に関する言い伝えや体験談をまとめた「~先人の工夫や知恵に学ぶ~四国防災八十八話」マップを公開している。このマップをもとに、県内のいろいろな地域の昭和南海地震(1946年)やチリ津波(1960年)の被災の勉強をしている。小学校1年生で昭和南海地震を経験した地域のお年寄りの体験談を聞く機会も設けた。話を聞いた3年生のある児童は「津波が来るという覚悟をもって生きていく」と言った。地域の被災の歴史を学んで今後に活かすことが大切だ。こどもたちは、この学習を通して地域に誇りを持ち、南海トラフ巨大地震と津波は、自分自身の問題だととらえるようになった。

 トイレの学習にも力を入れた。学校は必ず避難所になる。阪神・淡路大震災や東日本大震災の被災者から、トイレの課題を聞いた。汚れて掃除が大変なだけではなく、非衛生的だと病気につながる。汚いトイレを使いたくない人は水や食事を我慢して体調を崩す。

 断水してもトイレを使えるように、校内のすべてのトイレに段ボールトイレと携帯トイレを設置し、汚物を捨てるポリバケツも用意した。非常用トイレを倉庫にしまい込んでいると必要な時にすぐに使えない。いつでも使えるように、使用方法の説明書と一緒に各トイレの個室の壁に取り付けた。普段トイレを使うと自動的に非常用トイレの使い方を学ぶ仕掛けだ。

4.現在の課題と、将来、とりくみたいことを教えてください。

 最近まで、地域住民は、津波発生時にはどこにいるかわからないのだから今からがんばっても仕方ないといった意識だった。そのあきらめ感を変えようと、こどもたちと防災の学習を始た。学校、家庭、自主防災組織が一体となった地域活動を行うことで、あきらめずに高台に避難しようとする意識を根付かせていきたい。

 こどもたちは、普段のあいさつや人のつながりなど、あたり前のことをあたり前にやっていくことが大切だと感じているようだ。そんな意識をこれからも高めていきたい。

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