静岡大学 教育学部 藤井基貴研究室

園児に防災を教える高校生を支援

1.受賞の知らせを聞いて、どう思いましたか?

率直にうれしい。新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年度からは連携している学校にも行けず、オンラインでの活動がメインとなった。これまでは大学生が主体となった活動を行ってきたが、今回は防災教育を園児に教えようとする高校生のサポート、つまり、人材育成の活動が評価されたのだと思う。今年のプログラムでは、高校生が生き生きと活動してくれた。そこへの評価がうれしい。連携している高校がある浜松市では、市長が応援してくれるようになった。このような意義のある活動を展開できたことで、参加した学生たちにも自信がついた。

2.どんな活動を続けてきましたか?

「考える防災・脅さない防災・伝える防災」をテーマに掲げて新しい防災教育を広げる活動をしてきた。今年度は特に「伝える防災」を大切にしてきた。高校生の防災アンバサダープログラムがその中心だ。

学生が制作し、国内でのこどもたちへの防災教育に活用してきた防災紙芝居「ゆれがきたぞ」はスペイン語に訳して、エクアドルに届けた。防災教育教材の海外展開の第一歩だ。これからもどんどん世界に届けていく。

特別支援学校での防災教育の支援にもとりくんできた。防災クイズ動画を制作して公開している。コロナ禍で学校へはいけないが、動画を使った授業を広げていきたいと考えている。

3.今年度の一押しの実践を教えてください

大学生が高校生に防災と防災教育のノウハウを教え、その高校生が幼稚園児に防災を教えるとりくみを始めた。静岡県にはすべての県立高校生を対象とした「高校生保育・介護体験実習事業」がある(夜間定時制課程・通信制課程は除く)。高校生が乳幼児や高齢者との交流・ふれあいを通して、生命の尊さや子育ての意義、介護の必要性を学ぶプログラムだ。いくつかの高校に、この保育体験に防災も取り入れる提案をした。

保育体験実習は残念ながらコロナ禍で行けなくなったが、高校生は動画を作って伝えてくれた。自分たちが考案した遊びを紹介し、保育園の先生に送っても使ってもらった。静岡県地震防災センターや浜松市防災学習センターが開催した防災イベントでは、高校生に参加してもらい園児たちに防災の授業をしてもらった。コロナ禍で実際に園に出向いて触れ合う機会がなかったので貴重な機会となった。

高校生は、学ぶ側から教える側に立場を変えたことで、主体的に防災を学ぶようになり、自信がついたという。動画制作時には、大学生と高校生が内容やBGM、イラストについて話し合い、一緒に動画を作り上げていった。

4.現在の課題と、将来、とりくみたいことを教えてください。

 今はコロナ禍で学校・園訪問が厳しい。オンライン授業の画面越しにしか、こどもたちの様子がうかがえない。

学生が集まって準備をするときも、ほぼオンラインだった。不便も多かったが、逆に、卒業生や違う大学の学生とつながれた。浜松での実践の運営に神奈川から卒業生が参加・サポートできるなど、オンラインならではの広がりもあった。

オンデマンドで活用できる教材も、コロナ禍だからこそその必要性に気付き、制作することできた。今後の活動にいい意味で影響を与えてくれるはずだ。

自分たちの活動を内部で完結して終わりにしたくないと考えている。静岡県から日本全国の大学につながりを広げ、お互いのとりくみを交流していきたい。

大学内にも課題がある。現在の研究室のメンバーはそう多くない。静岡大学の他の団体ともネットワークを作っていきたい。例えば、研究室で高校生向けに公式LINEを開設し、交流や質疑を行っているが、このサポートひとつとっても、少人数では大変だ。活動の資金集めも課題のひとつ。持続可能な防災教育のプログラムにするためには、まだまだ解決していかなければならない課題があると考えている。

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