「あたりまえ防災隊」が学校の防災を担う
1.受賞の知らせを聞いて、どう思いましたか? こどもたちの反応は?
こどもたちの防災活動は11年目になる。継続受賞は素直にうれしい。評価していただけたというちょっとした安心感がある。こどもたちは、低学年は喜びが大きかったが、学年が上がるにつれて驚きをもって受け止めていた。
毎日新聞に受賞の記事と写真が掲載された。それをコピーしてこどもたちに配布したが、その記事を見て保護者がとてもよろこんでくださった。
2.どんな活動を続けてきましたか?
「あたりまえ防災隊通信」は担当の先生とこどもたちが記事を書き、毎月発行し続けている。おすすめの備蓄品を調べて紹介したり、校内のチェックを報告したりする内容で、学校がある北之幸谷地区にも配布し、ホームページでも公開している。おすすめの備蓄品の記事は本当に楽しそうに書いていた。長年、防災を学んできているので、現実的な紹介ができていた。コロナ禍で地域と交わる機会がなくなったが、「防災隊通信」の配布は続けている。
近年は関東を台風が襲うようになった。力を入れたのが、台風や大雨の対策。学校は創立49周年で校舎が古く、雨漏りが目立ってきた。アルミサッシの下から雨が吹きこんでくる。天気予報で台風や大雨の情報を見ると、あたりまえ防災隊が窓枠に新聞紙を詰めてまわる。ヘルメットをかぶって活動するのだが、こどもたちは、最初は照れていた。今はヘルメットをかぶっての活動に慣れてきており、その姿が周囲のこどもたちへのアピールにもなっている。
台風や雨が過ぎると、雨漏りの点検と新聞紙の回収を行う。もちろん、ヘルメットをかぶってだ。点検方法にはこだわりがある。見るだけではなく触る、叩くなど、触感でも調べる。触って「濡れている、はがれそう」などと伝えてくれる。塗装とコンクリートの劣化はきちんと調べて、学校に報告している。これから対応していく予定だ。
あたりまえ防災隊は、避難訓練時に「おかしもち」を全校生の前で発表する。それを見るこどもたちは、単に先生が話すよりもよく聞いている。
3.今年度の一押しの実践を教えてください
昨年同様、感染症対策を考えながらの活動が続いた。感染者が増えると防災隊は学部ごとに分かれて活動し、下火になったときは全員が集まった。コロナ禍になって、これまでできていたことができなくなった。「あたりまえ防災体操」ではこどもたちが手をつないだり手を合わせたりできなくなった。感染症対策の意味を込めて撮り直した「令和ver.」をYouTubeにアップロードした。保護者からの反応がとてもいい。「新しいのができたんですね」と喜んでくれている。テレビを通した遠隔全校集会で、完成した動画を紹介した。
分散避難訓練を導入した。小学、中学部、高等部がそれぞれグラウンドの別の場所に避難する。校内放送で避難を指示すると、全生徒がソーシャルディスタンスをとって避難していく。避難先は放送で指示するのだが、時間をかけずに避難できていた。
4.現在の課題と、将来、とりくみたいことを教えてください。
コロナ禍の影響で集まりにくくなり、これまでは30人近くいた隊員を10人に絞った。
活動の継続が大切だと考えている。担当者が変わっても無理なくできる活動を続けたい。
3学期には、こどもたちと活動について話し合い、こどもたちのアイデアを次年度の活動につなげていく予定だ。あたりまえ防災隊の活動をもっと全校児童生徒に知ってもらえるような活動をしていきたい。あたりまえ防災隊から全校児童生徒へ、そこから家庭・地域へと防災活動を広げていこうと考えている。