毎日新聞社大阪本社編集局長 島田 智

 昨年の表彰式で、私は「災害は常に我々の予測を超えてやってきます」と挨拶させていただきました。あれから1年。予測を超えるどころか、全く想像もしなかった新型コロナウイルスという「災害」に私たちは翻弄されています。経験したことのない状況の中、防災活動をどう継続していくのか、難しい課題だったと思います。しかし、今できることは何か、さらに一歩進み、今だからこそできることがあるのではないか、今回の応募144校・団体の皆さんが、さまざまな挑戦を試みていることがよく分かりました。その柔軟な発想を、心強く思います。

 中でも、グランプリを受賞した宮城県立支援学校女川高等学園の活動には、さまざまな工夫が詰まっていました。大人が提案して終わりではなく、生徒自身が主体的に計画立案し、実行していく。そうすることで、防災への意識が血肉となっていく。生徒主導、と言うは易く、行うは難しいでしょう。支援学校に固有の課題もあったでしょう。しかし、コロナ禍であっても、いや、そうであるからこそ知恵を絞り、上滑りの活動ではなく、実体験を重視する姿勢に頭が下がります。また、地域との絆を絶やさなかったことも印象的でした。「他者と協力しあった経験は、いざという時に彼らの記憶から蘇り、生き抜く選択肢を増やし、行動する力に進化していくものと思っている」。応募書類に書かれたこの一節に、深く共感します。

 「リモート」の大きな可能性に気づいたのも昨年の特徴です。遠隔地の学校との交流、専門家との意見交換。ハードルが一気に下がりました。知見を広め、自らの活動を振り返るために、積極的に使いこなしている学校が多いのに驚きました。今後も、有効なツールとして生き残っていくでしょう。

 昨年は阪神大震災25年。今年は東日本大震災10年。記憶と教訓を受け継ぎ、後世に伝えねばなりません。そして、コロナ禍をどう乗り越えたのか。今、経験している私たちが記録に残し語り継がねばなりません。今年も予断を許さない状況が続くと思われます。安全第一で、今できることは何か、皆さんの一段の創意工夫に期待します。

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