「めいなん防災ジュニアリーダーMRDP」は生徒会でも部活動でもない。任意団体の位置づけだ。メンバーは他の運動部、文化部に所属している者もいれば、MRDPだけの生徒もいる。もともと明南(と地元では呼ばれている)は地域の防災訓練に声をかけられて「動員」で参加していたが、もっと主体的に関わろうと2018年のメンバーが中心になり「にげろ‼あにまるず」というゲームを考案した。3~5人で1チームを作り、地震時の避難を体験する。ただし、1人は視覚障がい者の役割を演じる。避難に必要なアイテムを選んで避難所を目指す。その後これを家庭でも使えるボードゲームにした。新型コロナ感染症が収まれば、このような自作ゲームやエプロンシアターで地域の幼稚園や小学校に出前授業に行く予定だ。小学生を対象に、災害時の正しい対応を学べるタイムラプス(コマ送り動画)も今年度中の完成を目指している。
鳥羽幼稚園でのぼうさいきょうしつ
鳥羽小学校区防災訓練(にげろ!あにまるず)
高齢者施設でのふれあい防災セミナー
防災教育ホームルームでのプレゼン
災害メモリアルアクションKOBEでのプレゼン

兵庫県立明石南高等学校

自然体で活動するMRDP

 明石南高校の活動母体は「めいなん防災ジュニアリーダーMRDP(Meinan Regional Disaster Prevention)」だ。部活でも生徒会でもない。メンバーは自分たちのことを「雑多な集まり」と呼んでいる。部活に所属しながらでも、MRDPの活動があれば参加できる人が集まるというシステムである。現在、3年生7人、2年生5人、1年生5人の合計17人が活動している。

 参加動機は様々だ。「入りたい部活動が他になかった」、「姉が入っていて楽しそうに活動していたから」、「内申書に活動を書いてもらえると聞いたから」、「友だちが誘ってくれたので」など、防災とはかかわりない動機もあっけらかんと話してくれた。

 もちろん、「ボランティアが好きだ」、「中学生の時にMRDPの活動をHPで見て関心を持った」、「災害系なので将来役立つ」、などMRDPの活動に関心を持って参加したメンバーもいる。入学からずっと休校が続いて「自粛中に暇すぎて、何かやりたいと思っていた。忙しい人間になりたい。ボランティアに興味あった」という1年生もいる。

動画やツールで防災発信

 4月の入学式は簡略化して行われ、その後の自宅学習用に宿題がゆうパックで送られてきた。休校中に2年生と3年生のメンバーがコロナ禍と戦う人々への応援メッセージを録音した。顧問の先生が前年の活動写真をスライドにしてメッセージを載せた。4月後半はほとんど視聴がなかったが、GW明けから一気に増えていった。

 6月に学校を再開したが、第2週まではクラスを半分ずつ分けた登校だった。防災の活動はなかなか始められなかったが、7月から動画の作成に取り掛かっている。タイムラプスの技法を使って写真を1コマずつ撮影してつなげて動画に仕上げていく。小学生を対象に地震や大雨の時の対応を考えさせる内容だ。年内には完成させたい。

 エプロンシアター「ぐりちゃんたいへんだ!」も製作中だ。幼稚園の避難訓練で使いたい。

東日本大震災の被災地とのつながりも

 東日本大震災の被災地、宮城県の志津川高校とは長く交流を続けてきた。現在の3年生が1年生の時の3月、現地を訪れて志津川高校の当時の状態を聞き、復興住宅で風船作ったり、体操したり、卓球したりして交流をした。それからはコロナ禍もあって行けていないがSNSでの交流は続けている。

「にげろ!あにまるず」「かいけつ!あにまるず」

 MRDPのメインの活動は2年前から作り始めたゲーム「にげろ!あにまるず」と「かいけつ!あにまるず」だ。「にげろ…」が地震からの避難で、避難所で起こる問題について家族で相談するのが「かいけつ…」だ。

 以前は、地域の防災訓練には「動員」で参加していた。それでは面白くない、何かしたいとというメンバーの思いで、「にげろ…」を作って地域防災訓練に持ち込んだ。3人~5人で1チームを作り、1人はアイマスクをして視覚障がい者の役をする。緊急地震速報の音でまず頭を守り、それから避難に必要なアイテムを選んで避難するというストーリーだ。小学校の体育館で行われた地域防災訓練で初めて実施した。地域の大人の皆さんは最初こそ驚いていたが、何回か行うとどんどん参加してくれた。

 「かいけつ!あにまるず」は避難した後に避難所で発生する問題を、アイテムを使って解決していくという内容だ。完成した後すぐコロナ禍になってしまったのでまだ活用できていない。

人の役に立ちたい

 メンバーと話をしていると、防災をがんばらなければという義務感を背負い込むことなく、楽しみながら活動をしている様子が伝わってくる。将来の進路を聞いてみた。

  • デザインの専門学校に進学する。防災の絵本を作りたい。持ち出し袋のデザインを変えたい。
  • 大学で幼稚園の先生を目指す。自分たちのエプロンシアターを活用したい。
  • 大学では英語と韓国語を学ぶ。留学制度で海外へ行って見識を広めたい。
  • 医療系の専門学校に進学する。夢は理学療法士。人の役に立ってやりがいがあると思った。
  • 専門学校で看護師を目指す。弟が入院した時とても不安だった。看護師が声をかけてくれたり、病気をわかりやすく説明してくれたりして、かっこいいと思った。高校2年の時に学校から1日看護体験に行った。将来が決まった。

 入部時は軽い気持ちで参加しても、活動を通して人の役に立ちたいという気持ちが強くなり、防災と将来の夢を繋いでいっていることがよくわかる。最後にMRDPの代表に抱負を聞いた。

 今年は動画を作ったけれど活用できないまま終わっている。まだ友達の間にすら広まっているとは言えない。まず身近な友だちに私たちの防災ジュニアリーダーの活動をしっかりと紹介して、MRDPは楽しいだけではなくしっかりと考えてやっているという事実を理解してもらいたい。

 今年は学校の避難訓練の後にMRDPが1時間をもらっている。小中学校の頃の避難訓練は放送が流れて机の下に逃げる内容だった。中学校ではタイムを測っていた。高校では生徒たちがのんびり喋りながら行動していて危機感がない。まず、私たちが企画して防災訓練を強化したい。

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