大学生が地域、学校で防災を教える
1.受賞の知らせを聞いて、どう思いましたか?
クラブの代表に受賞の知らせが届き、メンバーはLineで共有した。自分たちの活動が評価されたのはとてもうれしい。今は主に松山市内で活動しているが、この受賞がもっと広く発信するきっかけになると、気が引き締まった。活動のさらなる充実を図りたいと考えている。
2.どんな活動を続けてきましたか?
結成は平成27年(2015年)。「環境防災学」という集中講義があり、防災士を目指す学生が受講していた。受講生が中心となり、知識だけではなく現場での実践力を身に着けようと団体を結成した。NPOとして活動しており、現在は100人弱が集まっている。コアメンバーは10-15人。イベントなどを不定期に開催したり、呼ばれて参加したりしている。いろいろな学部から学生が集まっているのが強みと言える。
小学校などへの出前授業を月に1-2回行っている。コロナ禍で学校訪問ができないときは、動画を撮影してオンデマンド教材として中学校に送ったこともある。
3.今年度の一押しの実践を教えてください
出前授業が活動のメイン。小学生はイベントでは学習コーナーを作って、ロープワークや〇×クイズなどにとりくんでもらう。中学生はHUGやDIG、クロスロードなどの災害対応ゲームにとりくんでもらう。学生の所属学部の特徴を生かして、例えば看護学部なら応急手当を教えたりもする。他の学部生が看護学部生から学ぶこともある。
活動は7年目になるが、その間の積み上げが大きい。大学周辺の地域とのつながり、学校とのつながりが広がってきている。防災訓練や運動会に毎年呼んでくれる学校もある。
こどもたちは防災を難しいことととらえているように思える、それを乗り越えてもらうために、楽しい活動を基本にしている。大学生が言葉で教えるのではなく、こどもたちの自己発見を大切にしている。例えば、防災学習で気づいたこと、各自が気を付けることやみんなで協力していくことなどをワークシートに書き出してもらうなど、楽しさにプラスして学びの見直し、定着を大切にしている。
4.現在の課題と、将来、とりくみたいことを教えてください。
苦労もある。大学生なので、講義を大切にしたい。出前授業やイベントが講義と重なると行きたくても行けない。ただ、100人近いメンバーがいるのでやりくりはできている。
コロナ禍の影響も大きい。去年からイベントが中止になるなど、活動が減った。クラブの会議がzoomになって、直接会えなくなった。画面越しでしか知らないメンバーが多く、つながりが薄くなるのが怖い。普段なら、卒業する先輩を送る会を開き、直接メッセージを伝えられるのだが、今は動画を作成して先輩に送るようにしている。一方、オンライン会議での交流が中心となり、SNSでつながることも増えた。クラブのFacebookやTwitterを通じて活動を依頼されるようになった。
クラブの学生の力量アップも課題だ。防災に詳しい自主防災会の方と活動していると、それを痛感する。防災の知識や技能と教育の方法論の両方が大切だと考えている。学生の研修会を開いてはいるが、今後は、頻繁に開催して力をつけていきたい。
現在のとりくみは、地域防災と学校での防災教育。つまり、年配の方と年下のこどもたちが対象となっている。自分たちの同世代、大学生にも防災を広げていきたい。愛媛大学だけではなく、他大学との連携も構築したい。
クラブの活動は松山市内が中心で、まだ面的には広がっていない。学生メンバーの出身地に広げていきたいと考えている。