有志9人が集まって“PFFプロジェクト”を進めている。“Prepare for the Future”「未来に備えよう」は生徒が考えた。コロナ禍で対面の活動が制限される中、防災動画の制作にとりくんだ。動画は世田谷区のホームページで公開中。「3つのかいたく力」をわかりやすく、楽しく解説している。

目黒星美学園中学高等学校

未来に備えるための「3つの“かいたく力”」

1.受賞の知らせを聞いて、どう思いましたか? こどもたちの反応は?

 “Classi”で受賞の連絡を先生から受け取ったときは、「あなたのとりくみが認められたよ」というメッセージをもらった気がしたという。生徒たちは、みんなで協力した結果だからと、心からよろこんでいるようだ。メンバーの中には、親が阪神・淡路大震災を大阪で経験した人や祖父母が防災に熱心な人もいる。そういった家族からの「おめでとう」も生徒たちには良い贈り物になった。

2.どんな活動を続けてきましたか?

 2019年の台風で避難した生徒の体験をもとに動画を作った。ただ、他の生徒たちは体験がないので、被災者インタビューを通して災害時の状況を想像しながらとりくんだ。

 防災特有の重さや暗さは出さないように工夫した。自分たちのアイデアを楽しいイラストや対話、写真などを使って紹介した。非常時に使えるアイテムを入れたポーチやトレイ問題など、女子中高生の視点を随所に活かして、問いかける内容に仕上げた。

3.今年度の一押しの実践を教えてください

 提案の一つに「TOIROポーチ」がある。災害時に役立つアイテムを入れて普段から持ち歩く。女の子らしくリップやハンドクリーム、コロナ禍で必要な消毒液とマスクなどを入れている。食料は、乾パンではなくいつも食べているおいしいものをチョイスした。心にも栄養が届くようにと考えたからだ。ライトや笛、携帯トイレなどの定番アイテムだけではなく、お守りやキャラクターグッズなど、自分の不安を和らげてくれるアイテムも入れている。ポーチの中身は人それぞれだ。十人十色だから「TOIROポーチ」と名付けた。

 「改宅力」は、災害に備えて自宅を安全にしていく力だ。東日本大震災の体験談をもとに、地震が発生しても安全が守られる方法を具体的に提案している。例えば、食器棚の固定だけではなく食器が飛び出さないストッパーが必要だとか、寝るときはカーテンを必ず閉めると割れたガラスから身を守ることができるといった提案が、防災を日常に取り入れるヒントになる。

 「回卓力」では災害時の食を提案している。困難な状況を乾パンなどの非常食で生き延びるよりも、いつも食べているおいしいものを食べたい、体が健康でないと心も健康にならない、という考えから、日常食のローリングストックを提案している。

 「解択力」ではデマ情報に惑わされず、正しい情報を探す大切さを提案している。「だいふく」という表現は、そのキーとなる。「だ:誰が言ってるの?」「い:いつ言ったの?」「ふく:複数の情報を確かめたの?」は災害時だけではなく普段から心がけたい。

 動画では、トイレ問題に力を入れている。簡易トイレの使い方も紹介した。ただ、トイレ問題はまだ想像の段階で終わっているので、実際の災害の場面にならないとわからないこともあるという不安もあるようだ。

4.現在の課題と、将来、とりくみたいことを教えてください。

 生徒たちにはいろいろな夢があるようだ。

 避難時にロールマット持って行ったので熟睡できたとか、ゲーム機や小説があったからリラックスできたとか、そういった自分の避難所の経験は誰かの役に立つ。どんどん広げたい。

 今後、動画に盛り込んだ内容を小学生に対面授業で伝えたい。防災バッグを作るワークショップを一緒にしたいと考えている。

 ちょっと前の地震で、外にいた弟が家の中に入ってきて机の下にもぐろうとした。そうではなく、どこにいても一番安全な場所を見つけることができる、臨機応変の力を持ったこどもを育てていきたい。

 本当に役立つハザードマップ作りに挑戦したい。

 PFFの目標は、防災活動にかかわった生徒たちが自分たちの学びを発信して安全な地域づくりに貢献し、災害時には、生徒たちがその地域で守られるような仕組みづくりではないだろうか。

「わくわく防災減災」~日常でできる防災のヒント
「3つのかいたく力」:「改宅力」「回卓力」「解択力」

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