高知県黒潮町 大方児童館防災プロジェクト

【高知県大方児童館の防災プロジェクト】

大方児童館は、高知県黒潮町にあります。この地域は、くじらが泳ぐ海に面していて、南海トラフ地震が発生した場合、海から600mくらいの位置にある児童館には、約25分で津波が到達すると想定されています。その津波の高さは最大10mに及ぶと言われています。

そんな地域にある大方児童館では、災害時に、どのように避難をすればよいか、普段からどのような防災教育を行っておくべきか、そしてその方針をどのように学校や地域と共有しておく必要があるか、という防災教育活動が求められていました。そこで、2016年度から「児童館防災プロジェクト」を本格的にスタートさせ、毎年継続して行っています。

【児童館の防災活動 ~体験する・考える・伝え合う~】

 このプロジェクトでは大きく3つのプログラムが展開されています。「ぼうさいDAY」、「考える避難訓練」、「地域との連携」です。
 「ぼうさいDAY」では、子ども会の時間を使って、楽しく防災を学びます。学校でも家庭でもできない体験を通して、いろいろなことを実際に見て、やってみて、考えながら学びます。例えば、、、

「家具固定って大事だって聞くけど、どうして?」
  ⇒じゃあ、家具固定をしない物と固定した物を揺らして比較してみよう!
  ⇒やっぱり固定してないと危ないね!

「非常持ち出し品を用意しろとは言われるけど、その荷物をもって走って逃げられる?」
  ⇒よし、必要なものをリュックに詰めて、背負ってみよう!
   そんなに重くて走れるかな?
  ⇒事前に、避難した先に、荷物を置いておけないかな?

「蛍光灯って割れるとどうなるの?」
  ⇒だったら、実際の高さから落としてみよう
   (もちろん安全には配慮して)!
  ⇒LEDは割れても比較的ガラスが飛び散らないらしいよ!

「飛散防止シートって自分でも貼り付けられるの?」
  ⇒なら、実際に貼ってみて、児童館の窓ガラスを強化しよう!
  ⇒こんなに簡単にできるんだ!

 などなど、知識としては知っているけれど、実際、それはどういうことなのか?について、体験を通して学び、考える時間が設けられています。この「ぼうさいDAY」には、地域の大人も参加することがあるそうです。「なぜそれが必要か?」ということを、みんなで一緒に体験しながら考えていく時間です。

家具固定実験
* 家具固定実験 *
非常持ち出し品ゲーム
* 非常持ち出し品ゲーム *
飛散防止シート貼り付け体験
* 飛散防止シート貼り付け体験 *

 「考える避難訓練」も、地域の人たちと一緒に実施されています。児童館の避難訓練の特徴は、スタート地点が地域の中にあることです。それが、普通の学校で行われる避難訓練との大きな違いです。普通の学校の訓練ではスタート地点は学校でそこから高台を目指します。児童館の避難訓練では、浜辺や公園など地域の中で子どもがよく行く場所から、高台にある学校や、津波避難タワーなどに逃げる訓練が行われています。災害時は、想定通りのことが起こるとは限りません。その時、その場の判断で、適切な避難場所に走っていけるように、パターンを変えた訓練が行われていることも、大方児童館の避難訓練の特徴です。

 例えば、避難の道にいろいろな障害があることが考えられます。この道で避難しよう!と思っていた道にブロック塀がたおれていて、通れないかもしれない…どうやって避難場所をめざせばよいでしょうか?

 他にも、津波避難タワーの階段を上ることが大変な人に対して用意されている「エクストレッチャー」があります。子どもの力でも大人を引き上げることはできるのでしょうか?自分も助かり、他の人も助かるためには、どういう工夫が必要なのでしょうか?

 こうした「その場で考える」訓練を普段から行っておくことで、災害時に、臨機応変に対応する行動力や、柔軟な考え方を身につけることがめざされています。

臨機応変に避難の道を考える訓練
* 臨機応変に避難の道を考える訓練 *
エクストレッチャーで、要配慮者を救助する様子
* エクストレッチャーで、要配慮者を救助する様子 *

 そして、大方児童館は、防災を通じた「地域との連携」にも力を入れています。児童館のイベントに地域・役場・町民館・保護者・学校の大人たちにも参加してもらい、子どもと一緒に防災を行うことで、同じ目線で一緒に考えることをめざしています。そうすることで、防災を地域全体の目標として、考えることができます。

【大方児童館防災プロジェクトがめざすこと】

 大方児童館では、児童館で行われるこうした防災のプログラムを、地域防災の初めのステップと位置付けています。つまり、「児童館で学んだことを家庭に持ち帰り、お家の人や、ご近所に広め、そうして最終的には地域全体の防災力をUPさせる!」ということです。児童館で学ぶことが、地域全体の防災力につながる、最初の一歩なのです。

 今回ご紹介したように、大方児童館では、学校でも家庭でもできない体験を重視したたくさんのプログラムが実施されてきました。児童館だからこそできる防災、という大きなテーマを持って、こうしたプログラムは考えられています。大方児童館は、“子どもと大人が協働する防災の拠点”となることをめざしています。